異色の時代劇「必殺」シリーズを語る・・・その2

プリキュア☆パパ

2012年05月10日 00:49

必殺シリーズ2作目となる必殺仕置人で、シリーズ看板となる中村主水が登場しました。

略歴
職業は江戸町奉行所の同心。登場当初は北町奉行所勤務、後に南町奉行所へ転属となった。妻・りつ、姑・せんと三人で暮らす婿養子で、子供はいない。初登場は第2作『必殺仕置人』。中村家家紋は「丸に唐花」。
かつて天領佐渡で同心見習いをしていた。その時に囚人であった念仏の鉄と知り合い、後に江戸で再会。鉄が暮らす江戸の観音長屋に住む棺桶の錠が持ちかけてきた百姓娘の復讐を請け負ったことを機に、法の網をくぐってはびこる悪を裁く闇の処刑人『仕置人』となった(『必殺仕置人』)。第4作『暗闇仕留人』でも引き続き北町奉行所に勤務していたが、第6作『必殺仕置屋稼業』で南町奉行所へ転属。同作最終回において仕置人仲間の市松を護送中に逃した罰で、定町廻りから牢屋見廻りへと左遷される。それからしばらく牢屋見廻りを務めた(第7作『必殺仕業人』)後、囚人の牢破りを未然に防いだ功績を認められ、定町廻りへ復帰(第10作『新・必殺仕置人』)。これを機に裏稼業から足を洗い、同心としての職務を全うすることに燃えていたが、定町廻りに復帰させた上司が自分の命を狙っていることを知り、再び仕置人となる。
それから一時期八王子の甲府勤番所に左遷させられていたが、再び南町奉行所に戻り(第15作『必殺仕事人』)、南町の定町廻り同心を長く務めた(第25作『必殺仕事人V・激闘編』まで)後、石川島の百軒長屋の見回りを命じられた(第27作『必殺仕事人V・旋風編』)。続く第28作『必殺仕事人V・風雲竜虎編』では、『旋風編』最終回において百軒長屋が焼失したため、富岡八幡宮へ架かる橋の通行料の徴収を行っていた。第30作『必殺仕事人・激突!』では南町奉行所の定中役同心に任命され、その職務権限を利用して、大奥にいる仕事人の元締・初瀬(酒井和歌子)と連絡を繋いでいた。
TVスペシャル版では目まぐるしく出張や異動を繰り返しているが、最終的にはいつも元の南町の定町廻りに落ち着いている。20世紀最後の登場作となった映画『必殺! 主水死す』でもいつものように南町の定町廻りを務め、そしてかつての仕事人仲間だった権の四郎(津川雅彦)との抗争の果てに生死不明となったところで、一旦の終焉となった。
『必殺仕事人2007』では渡辺小五郎(東山紀之)が定町廻り同心として着任したため、書庫番に転属となっていた。続く『必殺仕事人2009』においては書庫番から木挽町の自身番屋へ配置換えされた。
『必殺仕事人2010』では急ぎの命を請けて西方へ赴くことになり、周囲に別れを告げること無く、八丁堀の役宅を引き払って家族とともに江戸を離れていった。その後の消息は不明。
『必殺仕置長屋』では3年前(『主水死す』)から消息不明になっていると語られ、最後まで生存が確認されることはなかった。

キャラクター
人物
仕置人となる前の主水がどういう人物であったかの直接的な描写はないが、時折本人の語る言葉から、奉行所の同心という仕事に誇りと希望を持っていたことが窺える。それが江戸に転属になった時、罪人と役人がはっきりと分かれていた佐渡金山と違い、金次第でいくらでも不正がまかり通る町奉行所の現実に失望し、真剣に働くことを止め、町人からの袖の下も当たり前に受け取るようになった(『必殺仕置人』第1話)。だが、『必殺仕置人』第1話で棺桶の錠に燻っていた怒りに火を点けられ、以降長きに渡って仕置人・仕事人として活躍することとなる。
仕事を真面目にやらず、いてもいなくても変わらない立場の人間であることから、奉行所内外から『昼行灯』と呼ばれ馬鹿にされている。筆頭同心・田中熊五郎や与力の鬼塚(『必殺仕事人V・旋風編』・『必殺仕事人V・風雲竜虎編』)など上司からは、事あるごとに怒鳴られ嫌みをぶつけられていた。しかし実際の頭の回転は極めて早く、参謀役として数々の仕置の作戦を立案・実行してきた。難易度の高い仕置やリスクの高い仕置をもその頭の回転の早さと奉行所の同心という表の顔を利用して、幾度も成功させてきた。また観察眼や推理能力も非常にすぐれており、ほんの些細な証拠をも発見していちはやく事件の核心に気づいたり、些細な言動から推察してその人物が悪人かどうかも見分けがつくほどである。その剣術の技量は非常に高く(後述)、必殺仕置屋稼業初回や必殺商売人初回などにおいて一流の裏稼業者から襲撃された時もその超越した剣術で切り抜けている。
下総・千葉の出身で、代々奉行所筆頭同心を務めている北大路家の次男として育ち、わずかなつてを頼って中村家へと養子になりに来た。主水という自らの名前については、『必殺商売人』第13話において死んだ父親がつけてくれたものだと語り、『必殺仕事人IV』第43話では自らを中村主水之介玉五郎と名乗っている。
甘い物を好物にしている。そのため酒は嗜めないのだが、『必殺仕業人』では牢屋見廻りに左遷された悔しさからか自棄酒をあおる様子がたびたび見られ、『必殺仕事人』でも頻繁に酒を飲んでいた。料理については目刺が好物で、『必殺商売人』などでは「目刺が一番」と語り、『必殺仕事人2009』では自身番屋でよく目刺を焼いて食べていた。

家族
妻・りつ、姑・せんと3人で、八丁堀の役宅に暮らしている。恐妻家で、やる気のなさゆえに奉行所での出世の見込みがないこと、主水自身の怠惰な生活態度から、家庭内では2人から疎まれ、陰に日向にいびられ続けている。主水も、そのような態度で接する二人、特に厳しく当たってくるせんに対しては相当に嫌気が差している様子が窺える。しかし一方、表に出ないだけで実際は深い愛情で結ばれてもおり、それを示唆するエピソードも劇中に数多く見られた。
30歳を過ぎてなお子供がおらず、妊娠の兆候も見られないことから、せんとりつからは「種無しかぼちゃ」と罵られている(『暗闇仕留人』から。『必殺仕置人』ではまだそう呼ばれていない)。『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』ではついにりつが妊娠し、父親としての使命感に目覚めた様子も見られたが、死産という結末に終わり念願は叶わなかった。以降、りつに子供が出来たという話は一切ない。ただ、TVスペシャル『(秘) 必殺現代版』及び『世にも不思議な大仕事』に主水の子孫が登場していることから、何らかの形で後に跡継ぎが出来たものと推測される。
なお、『現代版』の主水は先祖となる主水同様に中村家の婿養子であり、直系の子孫の可能性は低い。『(秘)現代版』と『世にも不思議な大仕事』の主水はそれぞれ設定が異なる。
子宝には恵まれなかったが、夫婦ともに性欲が希薄だったわけではない。りつから主水に床入りをねだることは度々あり、主水もしばしば浮気をしたり外に愛人を作ったりしていたが、そのため美人局に引っ掛かり、弱味を握られて様々な陰謀に巻き込まれることが少なからずあった。また、他の女との間に隠し子がいるような描写もあったが、明らかにはなっていない。
姑・せんには、長女りつ、次女たえ(妙心尼)、三女あやの三人の娘がいる。そのため、あやの夫である糸井貢、妙心尼の愛人である村雨の大吉とは義理の兄弟にあたり、劇中でしばしばそのことを茶化されていた(『暗闇仕留人』)。
なお、せんの夫(かなり前に失踪し、消息不明となっている)の名前も中村主水であり、同じく婿養子であった。
『(秘) 必殺現代版』によると、中村家はこの後、明治維新に伴って奉行所が閉鎖された後に警察官採用試験を受けるが不合格となり、以降一般市民として生活を送っているとされている。また、後世には主水・せん・りつの写真が残されており、主水の愛刀も家宝として現代まで共に受け継がれていた。先祖の主水は、現代のせんとりつには敬われている。

裏稼業
仲間内では、同心であることから『八丁堀』というあだ名で呼ばれている。数々のチームでリーダー・参謀役を務め、長きに渡って法で裁けぬ悪人達を数多く始末し続けてきた。時には千葉周作、清川八郎、山田朝右衛門といった実在の剣客と組んで仕事を行い、井伊直弼や鳥居耀蔵といった実在の幕閣要人をその手で仕置したこともあった。
念仏の鉄など一部の人間を除き、普段は仲間とは互いに知らない者同士を装っている。奉行所の同僚である渡辺小五郎とは互いに敬語で接しているが、裏稼業の話題となった時だけは年長者らしい口調になる。

剣術
何度となく行われてきた仕置の様子に表れているようにその剣の腕前は超一流で、畷左門や中山文十郎(『助け人走る』)といった剣術の達人とも互角以上に渡り合っている。劇中の描写や設定によると、奥山神影流、御嶽新影流、小野派一刀流、一刀無心流の免許皆伝で、心形刀流の心得もある。しかし奉行所では『昼行灯』を決め込んでいるためその真の腕は誰も知らず、奉行所内での剣術の稽古でもいつもわざと負けている。時には実力がないように装うため、真剣ではなく竹光を腰に差すこともある。
これら正統派の剣術の他には、稀にではあるが槍術を用いる。また、『必殺仕事人V』などでは柄の中に刃を仕込んだ(鞘に見立てた柄の中に小刀が納められている)特別製の刀を用い、相手の虚を突いて倒すという裏技じみた技を見せたこともある。

特技
剣術の他には、英会話が(同僚に比べて)堪能であったり(『暗闇仕留人』)、書道に秀でていたりすることなどが紹介されている(『必殺仕事人III』『仕事人vsオール江戸警察』)。映画『必殺! THE HISSATSU』では、捕り方から逃れるために潜水艦を操縦して仲間とともに危地を脱しており、その時の仲間との会話から察するに、潜水艦の構造を熟知しているようであった。
また特技と言えるものではないが、頻繁にへそくりを行っていた。裏稼業で稼いだ仕事料だけでなく、町の人間から集めた袖の下や、上司に届けてくれと頼まれた賄賂からくすねた金子などを、自宅の様々な場所に隠していた。それを必要な時に持ち出して使っていたが、せんとりつに見つかって生活費や遊興費に当てられてしまうことも少なからずあった。
奉行所においては、宴会の幹事と博打の胴元を引き受けることが多い。

解説
シリーズ初登場は、第2作『必殺仕置人』。享楽的なその日暮らしの人生を送る念仏の鉄や、若さゆえに世の中の理不尽に真正面から怒りを燃やす棺桶の錠とは異なる、扶養家族と生活の基盤を持った風采の上がらない中年男として描かれていた。この時点で既に「表向きはしがない婿養子で、職場でも役立たず呼ばわりをされているが、一度裏に回ればその人並外れた頭脳と剣技で悪人を仕置するスーパーマン」という、後々まで繋がるキャラクターの概形が完成されていた。これが高度経済成長期のサラリーマン達の共感・羨望の対象となり、必殺シリーズを長寿番組に育て上げると要因となった。
それまでの時代劇では、主役級の立場にある同心や与力は、真面目で清廉潔白な人物であることがほとんどだった。そのため、町人から平気で賄賂を受け取って微罪を見逃す小悪党的な面を持ち、なおかつ世の悪に強い怒りを燃やす殺し屋でもあるという主水のキャラクターは非常に斬新かつ衝撃的で、当時の視聴者に多大な印象を残した。
主水役に藤田まことを抜擢したのは、番組チーフプロデューサーだった山内久司である。これについて周囲からの反対は強かったが、『必殺仕掛人』の演出を担当した映画監督・深作欣二の賛同もあり、最終的には反対を抑えて藤田を配役。結果としてこれが大当たりとなり、『てなもんや三度笠』以降俳優として不遇の時代が続いていた藤田を、再びスターの座に返り咲かせることとなった。一方藤田は、スタッフは他の有名俳優にも主水役を打診したが、家庭で嫁姑にいびられる情けない役どころを引き受ける人間が誰もおらず、最終的に自分が演じることになったと語っている。
中村主水という役名は、日本人に一般的な中村という苗字に、八木節に登場する怠け者・鈴木主水の名前を取って付けられた。一般にはジェームズ・ボンドをもじったものだと言われているが、これは人気が出た後に後付けで加えられた設定である。また、スタッフが遊びでこの名前を姓名判断にかけたところ、典型的な駄目人間であるという結果が出たという。
シリーズには、第2作『必殺仕置人』から第31作『必殺仕事人2009』までの16作品にレギュラー出演し、TVスペシャルや映画にも多数登場しているが、作品の流れと時代背景の流れは必ずしも一致しておらず、設定にも矛盾点が多々見られる。
第15作『必殺仕事人』の6話からは、主水の仕置シーンにスローテンポなBGMが用いられるようになり、第17作『新・必殺仕事人』以降は主水専用のBGMを使用するようになった。それに伴って殺陣も、それまで見せていた華麗で派手な斬撃より不意打ちの刺突を多く用いた地味なもの[1]に変わったが、かわりに死に行く悪人に向かって一言呟いてからとどめを刺すようになり、視聴者に強い印象を残した。この方針転換は、飾り職人の秀や三味線屋の勇次の派手な仕置との差異を際立たせることが主な目的だったようだが、藤田の加齢による体力的な問題も関係していると言われている。
第4作『暗闇仕留人』から第30作『必殺仕事人・激突!』までの全てのレギュラー出演作で主人公格の活躍をしているにもかかわらず、第7作『必殺仕業人』までは「中村主水:藤田まこと」というクレジットがエンディングのキャストロールの最後尾(トメ)を飾っており、主役としては扱われていなかった。詳しくは必殺シリーズ#中村主水の主人公問題を参照。
後年藤田は、NECインターチャネルから発売された『必殺! CD-ROM』のインタビューにおいて「中村主水というキャラクターが自分の中に確立できたのはいつ頃か」という質問に「『必殺商売人』の頃だ」と答えている。
トレードマークになっているマフラーは、『必殺仕業人』の撮影時、寒さをしのぐために小道具係から借り、そのまま撮影に用いたものがそのまま定着したものである。
映画『必殺! 主水死す』の後、中村主水は舞台に活躍の場を移した。その後、藤田の主水引退宣言により中村主水は封印され、もう二度と見ることは出来ないと思われていたが、2007年にテレビスペシャル『必殺仕事人2007』で復活を果たし、2009年には『必殺仕事人2009』に再びレギュラーで登板していた。『主水死す』と『仕事人2007』以降とのストーリーの整合性(なぜ主水が生き返ったか、あるいは生き延びていたか)は明らかにされていない。これについては『仕事人2007』放送前に、「主水は映画で勝手に殺されてしまった。だからテレビでは(以前のようにまた)登場させる」という主旨のスタッフのコメントが雑誌に掲載されていた。

必殺仕置人
必殺シリーズの第2作目、仕置人シリーズ及び中村主水シリーズの第1作目である。
本作は、前作『必殺仕掛人』(及び原作の『仕掛人・藤枝梅安』)の設定を踏まえつつも、原作を持たないオリジナルドラマシリーズであり、シナリオ展開、登場人物の配置など、以後の必殺シリーズの原型となっている。なお、以後、同シリーズの顔となる中村主水の初登場作品であるが、本作品における主人公は念仏の鉄であり、主水は登場すらしない回もある。
本作では『必殺仕掛人』と異なり、元締が存在せず、自らを仕置人と称するメンバーの合議制の上で、依頼を受けたり、怨みを晴らしていたりした(以後の作品でも多く見られる)。また、元々「仕置人」という概念があったわけでもなく、偶然再会した主人公達がある事件を通して自分達で結成した向きが強く、主人公達以外の仕置人(裏稼業者)も登場しない。そのため、プロの暗殺者という意識も薄い面があり、第3話にして奉行所に気取られ、鉄と錠が捕まってしまうというように、掟に縛られない奔放なやり方が仇となることもあった。
また「仕置」は他のシリーズとは異なり、殺害よりも悪人への制裁に重きが置かれており、必ずしも悪人を殺すとは限らなかった。また、殺すとしても、単純に殺すのではなく、被害者の痛みや苦しみを味わわせるために、むごたらしく殺すということもよくあった。ただ後述する「必殺仕置人殺人事件」もあって批判も多く、悪人を殺さず懲らしめるコンセプトはコミカルにアレンジされ、当時チーフプロデューサーを務めた朝日放送の山内久司プロデュース作品の『ザ・ハングマン』シリーズに継承された。一対多数(あるいは多数対多数)の殺陣も多いなど、その後のシリーズの原型となったとは言え、異なる部分も多かった。
対照的に、シリーズの原型となった部分としては、ベテラン俳優(主に主人公)、二枚目俳優(主に熱く正義感に溢れる青年役)、殺しには参加しないサポート役(主に姉御肌、勝気な性格の女性や三枚目俳優)などの人物配置の継承が挙げられる。また、本作の主演俳優達は、その後も必殺シリーズに関わることが多く、同名の役を問わず出演した。

新必殺仕置人
必殺シリーズの第10作目、仕置人シリーズの第2作目、中村主水シリーズの第5作目である。
当時の必殺シリーズは裏番組の台頭もあって視聴率が下降ぎみであった。そこで制作サイドは人気の高かった『仕置人』の続編を決め、中村主水、さらに念仏の鉄を登場させた。また、本作には過去の作品に例の無い闇の一大殺し屋組織「寅の会」を登場させたり、1話目は主水がその標的になってしまうなど、それまでの必殺シリーズを踏まえつつ新しいストーリー展開がなされた。
これらは効を奏して再び視聴率は回復し、その最終回も含め、本作は前期シリーズの代表作に挙げられる。1985年発売のBGM集に載せられた必殺ファンクラブ「とらの会」会長の山田誠二は最終回「解散無用」は必殺シリーズ中でも白眉の出来で、第一次黄金時代の終了を意味するとコメントしている。
参考文献「ウイキペディア」より
山崎 努演じる「念仏の鉄」とのコンビが光りましたね。
2年前の訃報には、驚きました。
中村主水は我々庶民の代弁者でしょうか?
最後に主題歌、「新必殺仕置人」最終回映像とOPナレーションで〆たいです。
のさばる悪をなんとする
天の裁きは待ってはおれぬ
この世の正義もあてにはならぬ
闇に裁いて仕置する
南無阿弥陀仏
やがて愛の日が

あかね雲

新必殺仕置人最終回「解散無用」

おまけ・・・仕置のBGM「問答無用」

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